講談社BOOK倶楽部

ホワイトハートX文庫 | 今月のおすすめ

王女ベリータ ~カスティーリアの薔薇~(上) 榛名しおり/著 池上紗京/イラスト 定価:本体600円(税別)

王女ベリータ ~カスティーリアの薔薇~(上)

幽閉された王女が、檻の外へ――。その時、運命の輪が回り始めた!ヒストリカルロマンの名手、榛名しおり先生の最新作は、読み応えたっぷりの上下巻の長編! 2か月連続の発売を記念して、榛名先生のスペシャルインタビューと、池上紗京先生のコメント付きラフ画ギャラリーを敢行! お二人の貴重なコメント、必見です!

榛名しおり先生スペシャルインタビュー

ホワイトハートには久々の登場となりました。今のお気持ちは?

生まれ育った古巣に戻ったようでうれしいです。

イラスト01

今回の舞台をカスティーリアにしたきっかけは?

今回の場合、最初に浮かんだ情景が「修道院にひとりで幽閉された姫のところに、ある日突然迎えが来る」というものでした。「いったいこの姫は誰?」ということで、西欧史の資料をあれこれぱらぱらしているうち、カスティーリア王国のイサベル女王が幼いとき、修道院にひとりで幽閉されていたという史実を知りました。そこから史実を絡めた物語づくりが始まりました。ヨーロッパと地中海あたりが舞台の話をずっと書いていたのに、スペインは書いていませんでした。でも、実はスペイン好き(特に食べ物♪)。今回舞台にできてとてもうれしかったです。

ベリータとアロンソにモデルはいますか?

ベリータは少女時代のイサベル女王がモデルです。アロンソは……。実は、アロンソの弟のゴンサロがスペインでは有名な将軍で、あちこちに銅像とかあるんです。で、資料でゴンサロが「次男坊」とあったので、お兄さんがいるんだろうなーって思って、勝手に創作してみました。実際のエンリケス家の長男がどんな人だったかは……?

書いていて楽しかったシーン、また、苦労した点は?

前半、じっとしていられないベリータ王女と、冷ややかな理性派アロンソの色気のない掛けあいは楽しかったですね。苦労したのは、歴史的な背景をどこまで詳しく、かつ、わかりやすく書くかかな。

「王女」のベリータには尊敬を、「ばか」なベリータには共感をしました。
榛名先生の「ここは自慢できる」ところ、ご自身で「ばかだなあ」と思うところを教えてください。

自慢:電車の中や病院の待合室なんかで小さな子といっしょになると、必ず懐かれて笑いがとれる。
ばか:懐いた子がバイバイして行ってしまうとさみしくなって家に帰りたくなる(何しに来たんじゃ)。

歴史好きの榛名先生ですが、一番好きな国や年代は?

ルネサンス以前の地中海沿岸ならいつでもどこでも。好きなのは、どうしてなんでしょう。苦手なのは漢字圏……(単に漢字が苦手だというだけ)。

小説の題材はどんなところからインスピレーションを得ていますか?

図書館で歴史本をぱらぱらしたり、テレビの旅番組や歴史番組でおもしろいなあと思ったものを検索したり……。でも、ぼうっとお皿を洗っていて思いついたものが、一番おもしろかったりするんですよね(笑)。

下巻の見どころを教えてください。

下巻では、アロンソが王女ベリータの夫となる王子を、命がけでベリータのもとへ連れてこようとします。ベリータのアロンソへの切ない恋心は……そしてこの高貴な三角関係が生み出す王女ベリータの運命は? って感じでしょうか。

読者へメッセージをお願いします。

一冊完結のつもりが、久しぶりのホワイトハート&池上先生のイラストとあって力が入り、気がついたら上下巻になっていました(笑)。15世紀のカスティーリアを舞台にした歴史物語二冊組、楽しんでいただければ嬉しいです。

榛名しおり先生スペシャルインタビュー
池上紗京先生のコメント付き!スペシャルラフ画ギャラリー&人物紹介
勝利をおさめた騎士に「花の笑み」の報償を。かけがえのない人を支えたい、守りたい―だから強くありたい。そんなベリータの気持ちが、カバーイラストのテーマでした。
読者の皆様へ大輪の薔薇のように強く輝くベリータに誘われて、旅情を駆り立てられるほどうっとりと心を馳せさせていただきました。鮮やかなるカスティーリア黄金時代を、みなさんもどうぞご堪能ください。
ベリータ 先代国王の父の死後、母と二人修道院に幽閉された。母とも引き離されたあとは、人間不信に。美しく気位も高い。天性の直感で窮地を脱する。 ベリータは、太陽を存分に受けて開いたオレンジ色の野生の薔薇のイメージです。 ラモン ベリータが幽閉されていた修道院の馬屋番の少年。ベリータと外の世界へ。 ラモンは私の癒しキャラでしたので、とにかく爽やかに、明るく!
アロンソ 名門エンリケス家に生まれ、幼くして父の後を継いで王家に仕えてきた。しかし王家に不信を抱き祖国・カスティーリアのために働こうと決意した。 アロンソは、ベリータに寄り添ってドラマティックな陰影を作り上げる影。 ゴンサロ アロンソの弟。剣の腕が立つ。男らしいが、感激屋で涙もろい一面もある。 アロンソとは逆に弟のゴンサロは人を惹きつけてやまない太陽を意識しました。
ファナ王妃 カスティーリア王、エンリケ四世の妃。娘に王位を継がせようと画策する。 ファナは美容のために鍛えていそうなので新体操の選手のようにしなやかな体格。 トレド大司教 ビリェート侯の伯父。羊のような容貌で温和。 トレドはふわふわの羊のイメージです。
カスティーリア国を巡り、大国ポルトガルの思惑や義姉ファナ王妃の陰謀が渦巻き、再び国は揺れに揺れる!次期カスティーリア王となるベリータの結婚相手とは!?そしてアロンソへの切ない恋心。王女として、恋する少女として、ベリータの出した答えとは……!?『王女ベリータ ~カスティーリアの薔薇~(下)』は、11月5日堂々刊行!!