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ホワイトハート X文庫 | 今月のおすすめ

魍魎(もののけ)の都 姫様、それはなりませぬ 魍魎(もののけ)の都  平安らぶこめ、予想外のクライマックス!? 本宮ことは 著 定価:580円(税別)
登場人物
諾子(なぎこ)
諾子(なぎこ)
高名な歌人である清原元輔(きよはらのもとすけ)の末娘。ふつうの人には見えない物(もの)の怪(け)や妖(あやかし)が見える「鬼見(おにみ)」の才あり。十四歳。
(あや)
諾子が飼っている小さな黒猫。しかしその正体は、猫又(ねこまた)という妖(あやかし)。
綾(あや)
橘 則光(たちばなののりみつ)
橘 則光(たちばなののりみつ)
春宮(とうぐう)・師貞親王(もろさだしんのう)の乳兄弟(ちきょうだい)。剣術が得意な十五歳。
平 季武(たいらのすえたけ)
源頼光(みなもとのよりみつ)に仕える剛(ごう)の者。頼光四天王の一人。二十五歳。
平 季武(たいらのすえたけ)
慶滋保胤(よししげのやすたね)
慶滋保胤(よししげのやすたね)
陰陽師(おんみょうじ)・賀茂忠行(かものただゆき)の息子。諾子の勉学の師。四十九歳。
藤原道長(ふじわらのみちなが)
右大臣(うだいじん)・藤原兼家(かねいえ)の四男である貴公子。十四歳。
藤原道長(ふじわらのみちなが)
ストーリー

 979年皐月(さつき)。清原家の末娘・諾子は、雨の降る庭を眺め、柄にもなく物思いに耽(ふけ)っていた。すると、山吹(やまぶき)の茂みに埋もれるようにして、しくしく泣いている童子が。年の頃はまだ三つ四つ、尼削(にそ)ぎの髪も愛らしい、ぷっくらした子供だ。

(……やっぱり、言葉が通じる相手だと、見込まれちゃったみたい……)

 これは、「鬼見」の才がある自分の許(もと)に現れた物の怪だと気づいた諾子は、仕方なく話をきくことに。
「あ——っ! もう、いいかげんにしてよっ! 山吹がっ! 咲いてる間じゅうずっと! 朝も昼も夜もっ! しくしくしくしくしくしくされてちゃ、鬱陶(うっとう)しくてたまんないわよっ!」

 そして、童(わらわ)に訊ねてみた。
「どうしたの? なんで泣いてるの?」
 その童が、山吹の花を差しだして応えるには、
『帰りたいの。川へつれていって。早く帰らないと、大変なことになるの』
と。

「山吹」と「川」をヒントに、師匠の慶滋保胤から「水無瀬川(みなせがわ)」というキーワードを引き出した諾子。
 さて、その水無瀬川まで行く方法を相談するために諾子が選んだのは、喧嘩相手の橘則光。
「おまえ……まさかまたなにか変なこと考えてやしないだろうな。邸(やしき)を抜け出したり……」
「どうして、私がこの邸を抜け出したりしなきゃなんないのよ。やだなーあはは」
「頼むから大人しくしててくれよ。代わりに俺がやってやるから」

 むむむ————。  いつもは諾子を「変わり者」と呼ぶ則光。  一方、粗忽者(そこつ)で無骨者(ぶこつ)で剣術しか興味のない則光を「莫迦(ばか)」と罵(ののし)る諾子。
そんな二人に、まさかのラブ度アップ!?!?!?!?
 しかーし。
 そんなはずはなく、結局、この日も喧嘩別れした二人。

そして、ついに邸をひとり抜け出した諾子。だが、それが則光や藤原家の御曹司(おんぞうし)にばれたものだから、もう大変!

姫様の旅の行方は? そして、恋の行方はどうなるのぉぉぉぉぉ!?

お転婆(てんば)姫様、諾子が大活躍する「魍魎の都」シリーズ、
ついにクライマックス!!!