古城を改築して設立された、ノブレス・グロワール芸術学院。 舞台演劇学科の最終学年で学院一の人気者のダニエルは、人の気配の感じられない夜明けの美しい瞬間をこよなく愛していた。そして、今日も早起きをして中庭にやってきたのだが、……。

エリートのダニエルは、一人部屋を与えられていたが、学長と神父の依頼で、一人の生徒を預かることになる。ルームメイトになったのは、あの朝発見した青年、オスカーだった。

部屋にやってきたオスカーにダニエルは、違和感を覚える。

「瞳の色、バイオレットじゃないと思ったら、カラーコンタクト入れてんのか？ご丁寧にその上から眼鏡までかけてよ。なんでそこまでして隠す」
「！」
思わぬ指摘にオスカーの体がびくりと揺れる。痛いところをつかれて、その表情がみるみるうちに強張った。
———　本文より。

そして嵐の夜、事件が起こった。

　その瞬間、オスカーの中にわけのわからぬ衝動が走り、気付けばその息を吸い取るように、ダニエルの唇に口付けていた。
途端にダニエルの体がびくりと揺れた。

「そんな目で見ないでくれ！　これは違うんだ！　なにかの間違いなんだ！」
「オスカー!! 」
「違う！　違うんだ！　こんなの僕じゃない！」
———　本文より。

オスカーの隠された秘密！　ダニエルがとった行動は！？

好評既刊	定価：本体600円（税別）