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ホワイトハート X文庫 | 今月のおすすめ

ホワイトハート50冊目!『銀のナイフとダイヤモンド』刊行記念! 仙道はるか先生記念インタビュー! 『銀のナイフとダイヤモンド』 『銀のナイフとダイヤモンド』仙道はるか 定価 : 本体600円(税別) 『高雅にして感傷的なワルツ』など、多くのヒット作を生み出してきた仙道先生ですが、この『銀のナイフとダイヤモンド』は、なんとホワイトハート50冊目の作品! そこで仙道先生にインタビュー、その「デビュー秘話」など、貴重なお話を伺いました。
《1》ホワイトハート50冊め、おめでとうございます。節目を迎えられていかがですか?
ありがとうございます。デビュー当時は、1冊発売になるたびに、家族や友人たちに「いい思い出作りができた」と言っていましたが、その思い出作りがいつの間にか50冊に到達していて、自分でも驚くと同時に、とても感慨深いです。それもこれも、これまで応援してくださった読者の皆様と出版社の方々、そしてやはり家族と友人のおかげだと思います。
《2》デビューのきっかけはホワイトハートと伺いましたが。
当時、新設されたばかりのホワイトハート大賞の第1回めに応募したのが最初のきっかけです。その頃の私は、それまで勤めていた会社からリストラ(苦笑)されたばかりでして、ダメ元で昔からの夢だった小説家にチャレンジしようと考えていました。ダメ元だったんですが、幸運にも応募作が最終選考にまで残りましたので、これはもしかして多少は可能性があるんじゃないのか? と思ってしまったわけです……。しつこく、同賞の第2回め(三次選考)、第3回め(最終選考)と応募し続けたら、第3回めの時に最終選考まで残ったと連絡をくださった編集さんから、「なんかもう、賞取れなくてもデビューしてもいいよ」と言っていただきました。これは、はたしてバラしても良い事実なのか謎なんですが、多分もう15年も経つので時効ですよね? ようするに、結果的にはしつこさの勝利……だった気がします(汗)。
《3》これまでの作品で特に思い入れがあるのは、やはり芸能界シリーズですか?
芸能界シリーズに含まれるのかわかりませんが、『高雅にして感傷的なワルツ』と、そして初めて伝奇ファンタジーに挑戦した『血の刻』シリーズは、自分にとっても色々な節目になった作品になっているので思い出深いです。特に『高雅〜』に関しては、間違いなく私にとって代表作のひとつだと思いますので、いまだにたまに個人誌などで番外編などを書いてます。
《4》小説を書き始めたのはいつ頃ですか?
小学校6年生の頃に、授業中にノートに書き始めたのが最初です。当時絶大なる人気のあった『機動戦士ガンダム』のパロディ小説でした。自分で言うのもなんですが、かなり根深くオタクなんだと思います。その後も、学生時代は主に授業中(これを見ている学生さんは真似しちゃダメですよ……)にノートに小説を書きまくってました。ちなみに、当時からすでに男同士の恋愛話ばっかりだったです。子供だったので、さすがにHなシーンは書いてませんが……(汗)。
《5》小説の題材はどういうところから見つけられるのでしょうか?
とりあえず、私の場合は子供の頃から本が好きで、学校の図書館の本とかを、端からジャンル問わずに全部読んでいくような子供でした。ある程度の年齢になると、それなりに読書傾向に好みも出てきましたが、このジャンルを問わないでいっぱい本を読んできたからこそ、いまだに自分で文章を書く仕事を続けていられるのだと思います。今は、インターネットが発達してますが、それでも過去の紙媒体に勝るものはないと私は思ってます。本で培った知識(ネタとも言う)と、定期的な萌え(オタクなので)の補給が、何より私の創作活動には必要なんだなぁと思います。
《6》お住まいの北海道は、作品世界に影響を与えていますか?
じつは、せっかく北海道に住んでいるのに、あまり地元を舞台にした話を書いていません。デビュー作の『ヴァルハラ』の舞台は札幌ですし、その後何度か富良野を舞台にした話も書いてますが、残念なことに数は少ないです。しかも、今だから告白してしまいますが、富良野を舞台にした某作品を書いていた時、私は実際には一度も富良野に行ったことがありませんでした(汗)。その後に3回ほど富良野を訪れる機会はありましたが、同じ北海道でも一度も訪れたことのない場所が山のようにあります……。何せご存知のとおり、北海道は広いもので。なので、残念ながらあまり住処は作品に影響がないと思います。たまに、方言と知らずに文章に書いて、校閲さんにチェックされるくらいです(苦笑)。
《7》小説を書くなかで、一番大変な部分はどこですか?
即答でラブシーンですね! デビュー当時は、いわゆる『朝チュン』で誤魔化してきました。さすがに15年もこのジャンル(ひとつ言い訳しますが、私がデビューした頃は、この世に中に『BL』というジャンルは存在してませんでした。なので、私のデビュー当時の肩書きは、驚くことに耽美作家です。耽美って……)にいると、そうもいかなくなったのが悩みどころです。ホワイトハート自体の作品傾向もずいぶん変わったもんだと思います。とりあえず、いまだにその手のシーンだけは、色々とテンションを高めて作品の一番最後に書くようにしてます。
《8》好きな小説やマンガ、映画などを教えていただけますか?
この手のことを、私に語らせると長いですよ(笑)。好きな小説のジャンルは、本格ミステリーと伝奇ミステリー。どっちに転んでもミステリーですね。ただ、作家では塚本邦雄・赤江瀑・中井英夫・稲垣足穂などの耽美界の重鎮の名前をあげたいと思います。海外作家では、S・キングだけは何か自分の中で別格です(モダンホラーも好きです)。確実に、今の私があるのは、この方々の影響だと思います。漫画は沢山ありすぎて、何かひとつを上げるのは難しいのですが、萩尾望都先生の『ポーの一族』は子供の頃に読んで衝撃を受けて、その衝撃が今でも少しも薄れない素晴らしい作品だと思います。あと、知ってる方は知ってるとは思うんですけど、私の『仙道はるか』というペンネームの由来が、『スラムダンク』の中に登場する『仙道彰』というキャラから来ているので、この作品も外せません。最後に映画ですが、これもいっぱいありますが『指輪物語』三部作と『ディア・ハンター』と『ヒッチャー』をあげておきます。『指輪物語』は今さら説明は不要だと思うのですが。『ディア・ハンター』は若い頃のロバート・デニーロが半端なくカッコよくて、そして腐女子萌え(……)もある崇高な作品です。そして『ヒッチャー』はカバーされた方ではなく、古い方のルトガー・ハウアーとトーマス・ハウェル版が凄く好きです。ホラーなので怖いんですけど、これまたかなり萌える! やっぱり萌えは大事です。
《9》ボーイズ・ラブというジャンルの魅力はどこにあると思いますか?
やはり、BLはファンタジーなんだと思います。美少年や美青年同士の恋愛は、現実 感がないからこそ美しく、ときめきと萌えでいっぱいです。読み手としての自分もそうですが、くっつくまでの途中過程で胸がキュンとして、最後はハッピーエンドが好きです。読んで幸せな気分になるBLが好きです。たとえば落ち込んだ時に、読んで元気になる話が好きです。私自身も、そんな話を書けるように頑張りたいと思います。デビュー当時から決めていたことのひとつに、絶対にハッピーエンドしか書かないというものがあります。切なくて美しい話や、ハードで殺伐とした話は他の作家さんに任せて、単純かもしれませんが、BLではこの先も幸せな話だけを書いていきたいと思ってます。
《10》最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
いつも応援してくださる皆様ありがとうございます。支えてくださる皆様がいるか ら、私もここまで仕事を続けることができました。本当に深く感謝いたします。そし て、最後になってしまいましたが、先日発生した東日本大震災で亡くなった方々のご冥福をお祈りします。そして、今なお被災地で困難な状況に立ち向かっている多くの皆様にお見舞い申し上げます。今は、節電や義援金など、皆様のためにできることが限られていますが、この先に少しでも被災地の皆様の元気を取り戻す手助けをするためにも、私たちのような職業の人間は創作活動を続けなければいけないのだと思います……。本当に、本当に被災地の多くの皆様の無事を心から願っております。
『銀のナイフとダイヤモンド』を、ぜひお楽しみください!