今回、金曜紳士倶楽部がついにフィナーレを迎えました。
　代々有能な政治家を輩出してきた名門の御曹司・東郷鷹也（とうごうたかや）、鷹也 の秘書であり恋人でもある篠宮千歳（しのみやちとせ）、大日方グループの若き青年 実業家・大日方稀一（おびなたきいち）、日本舞踊藤莢流宗家の花・勧修寺凛（かじゅ うじりん）、闇のフィクサーとも噂される金森老を祖父に持つ名家の御曹司・金森拓 海（かなもりたくみ）、指定暴力団佐久間組の次男でも自らも金融会社を経営する佐 久間京介（さくまきょうすけ）。
『金曜紳士倶楽部』とは、この６人が金曜日の午後、お茶でも飲みながら優雅な時間 を過ごそうと始めたものだったのですが……　メンバーが揃ったとき、新たな事件が生まれ、そして解決されることに！？
　自分たちが持つ才能、知力、財力、そして時には権力を使い事件を解決へ導く、華 やかで大胆不敵な『金曜紳士倶楽部』の世界を著者である遠野春日先生のコメントと ともにお楽しみください！

金曜紳士倶楽部

＜あらすじ＞ 「金曜日の夜に暇を持て余しているなら、暇な者同士でのんびりお茶を飲みながら、 新聞を読むのはどうだろう？」 　そんな一言から名門・財閥・梨園・陰の大物といった家の御曹司で構成された『金 曜紳士倶楽部』は始まった。メンバーは東郷鷹也、篠宮千歳、大日方稀一、勧修寺凛、 金森拓海、佐久間京介のろ６人だ。 　事件にならない事件を解決するため、ある男の復讐を請け負うことになったのだが ！？ ＜ポイント＞ 金曜紳士倶楽部、ついに結成！！ ＜遠野春日先生コメント＞ 最初の１冊というだけあってやはり一番派手にメンバーを活躍させた巻かなと思いま す。各人の顔見せがうまくできていればいいなと思いつつ書いた記憶が。京介につい ては次巻から詳しく、というスタンスでした。

封印された手紙 金曜紳士倶楽部（２）

＜あらすじ＞ 「幽霊の彷徨（さまよ）う屋敷があるらしいんだけど、興味ない？」 　今度の金曜紳士倶楽部の新たな事件は、そんな拓海の一言から始まった。 　奥日光（おくにっこう）のある屋敷では、美少年の幽霊が出るのだという。退屈し ていたメンバーたちは早速その屋敷に出かけることにしたのだが！？ ＜ポイント＞ 幽霊になった美少年の恋文を探せ！？ ＜遠野春日先生コメント＞ 担当さんと相談して、２話目はちょっと不思議な話にしようということになり、普段 はまず書かない設定で書きました。このメンバーが扱う事件としては合っていたので はないかと思います。私はエイスケがひそかに気に入っています。

踊るパーティーと貴公子 金曜紳士倶楽部（３）

＜あらすじ＞ 　金曜紳士倶楽部に新たな依頼が舞い込んだ。それは、拓海の又従姉である涼香（りょ うか）と貴公子・茅島（かやしま）氏の婚約パーティをぶっつぶすというものだ！　 一方、６人のなかではある変化が起きていた。鷹也と千歳、稀一と凛。ふた組の恋の 行方は！？ ＜ポイント＞ あの人気の紳士・茅島氏、登場！！ ＜遠野春日先生コメント＞ これはやはり、茅島氏を登場させるというのが最大のポイントだったと思います。鷹 也と千歳の間に生じた捻れ、それに反するようにじわじわと進んでいく稀一と凛の関 係、そして京介に片村という存在がいることなどが明らかになる巻です。稀一が茅島 氏に要求した「報酬」が私は好きです。

黒の秘密 金曜紳士倶楽部（４）

＜あらすじ＞ 　ある日、広域暴力団佐久間組の子息の京介は客からいわくありげな黒のカードを手に 入れた。そこには持ち主の名前以外、いっさい記されていない。 　秘密クラブのカードでは？　金曜紳士倶楽部のメンバーはその秘密を探ることになっ たのだが、テレビでカードの持ち主が殺されたというニュースが流れて…… ＜ポイント＞ 毎週水曜日、秘密クラブが開かれる！？ ＜遠野春日先生コメント＞ 予想外に重くなってしまった巻で、やっぱり京介が絡むと優雅で軽い事件にはならな いなぁと噛み締めさせられました。鷹也と千歳はここでやっと一段落。千歳が少しず つ強くなっていっている気がします。

闇の誘惑 金曜紳士倶楽部（５）

＜あらすじ＞ 　広域暴力団佐久間組の子息の京介には好きな男がいる。それは、お目付役で片村隆成 （かたむらりゅうせい）だ。ふたりはキスもするし、体の関係もある。一見、京介の ほうが優位にあるように見えるが、実際は片村に支配されているのだ。 　片村は自分のことをどう思っている？　焦れる京介だったが、ある事件に巻き込ま れてしまい！？ ＜ポイント＞ 素直になれない男たちの恋の駆引きとは…… ＜遠野春日先生コメント＞ 前巻を引きずっているため、またまた暗い事件の話に。片村と京介の場合、最初は京 介が襲い受で、すぐに形勢逆転して組み敷かれるところが私的ツボです。京介の浅は かなところが気に入っています。拓海にまで引っ張り回されている意外な一面もあり ました。

華麗な共演 金曜紳士倶楽部（６）

＜あらすじ＞ 　梨園の御曹司・勧修寺凛は、奇才と評される映画監督の誘いに応え、人気俳優・七 浦魁（ななうらかい）の映画に出演することになるのだが、魁のしつこいアプローチ に困惑していた。そんな時、凛を心配した恋人の稀一が共演することになって…… ＜ポイント＞ もどかしい幼馴染みたちの恋はどうなる？ ＜遠野春日先生コメント＞ 四巻、五巻、と本来の金曜紳士倶楽部らしくない事件が続いたので、最後の巻はもと もとのテーマだった「事件にならない事件」を扱おう、と思って書いたのですが、凛 に危機が訪れるあたりはちょっと緊迫しているかなという感じです。じれったかった 稀一と凛がいよいよ……、なところをぜひお読みいただきたいです。

この度、遠野春日先生にインタビューに答えていただきました。みなさんの聞きたかっ たこと、知りたかったことはあるでしょうか？　さあ、どうぞ。

●『金曜紳士倶楽部』を書き始めたきっかけはなんでしたか？

打ち合わせの際「今度の作品は少なくとも５巻以上のシリーズで」というお話をいた だいておりましたので、メインの登場人物を多くして、連作形式で軽やかな事件を重 ねていく話を書こう、ということになりました。どうせなら派手にいきたいというこ とで、主人公たちは桁違いの金持ちというドリームな設定に。その中で平然と交わさ れる非庶民的な会話が書きたかったというのがきっかけです。

●印象的な登場人物が大勢出てきますが、バイプレイヤーとしてもっとも印象に残っ ている登場人物は誰ですか？

エイスケかな。彼を主人公にして書くのは私には難しすぎますが、もっと出してあげ たいキャラクターでした。あまり深く掘り下げていないのでまだまだ謎だらけ。神出 鬼没のキャラとして今後もどこかでひょいと出したい気がします。

●エイスケについて知りたい人は『踊るパーティーと貴公子　金曜紳士倶楽部（３）』 を要チェックですよ！

●金曜紳士倶楽部のメンバーになれるとしたら、どの人物になりたいですか？

うわー、誰でしょう。皆それぞれに違うので迷います。一番身近なのはやはり千歳で すが、千歳になると恋愛面で悩んで辛そう（笑）。鷹也は油断のならないツンデレ男 だと思うので。トータル的に考えると、なってみて落ち着けそうなのは稀一でしょう か。

●書いてみようと思ったけどやめた設定、事件などありますか？

京介はもっと遊んでいる設定にしようかなと思ったのですが、ＢＬ的配慮から実は最 後の一線は越えない程度の遊び方だった、としたあたりはあります。あと、当初は１ 巻目で京介が不在だった理由の「組関係の事情」に関した話も書くつもりでいたのが、 時間が経ちすぎていつの間にか忘れていました（汗）。今思い出して軽くショックを 受けています。

●シリーズが完結しました。読者さんへの言葉をお願いします。

２００３年に始まったシリーズ、５年間もお付き合いくださいましてありがとうござ いました。
ホワイトハートさんでの初仕事だったこのシリーズ、今あらためて考えてみても、こ のレーベルで執筆するのが一番合っていたのではと思います。
６人それぞれ書いているうちに愛着が湧いてきていて、手放すのが惜しいキャラばか りです。また、茅島氏という私の古くからの馴染みキャラを特別出演させることをな んの躊躇いもなくOKしていただけて（両社さんとも）非常にありがたく、個人的にも 楽しんで書かせていただきました。
大人数のキャラクターをまんべんなく動かすのは本来の私の様式ではなく、正直大変 なところもありましたが、無事完結させられて本当に嬉しく思っています。
最後まできっちり書かせていただけましたのも、読者様の応援のおかげです。どうも ありがとうございました！

みなさん、特集はいかがでしたか？
これまで気づかなかった新たな魅力を見つけたのでは？
読むと虜になる『金曜紳士倶楽部』、あなたのなかでもう一度、楽しんでみてください！