●最終選考分の作品の講評
- 「白麗乙女の嫁入り事情」宮脇 あずみ
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- 設定は華やかで、文章は読みやすく、読者に対するサービスもたくさん盛り込まれていると感じます。ただ、この小説の世界には、登場人物以外は誰も住んでいないような印象を受けました。また、聖竜と少女の関係を定義し直さないと、物語の中心がボケると思います。テーマをはっきりさせて、不要な要素を外したほうがより読みやすくなります。（Ｌ）
- ロマンティックなラブコメ、こなれた文章で読みやすくかわいいお話でした。ただ「伝えたいこと」がはっきりしない印象。それぞれのキャラクターにもっと独自性を持たせたほうがよかったと思います。どんな層に向けて、何を語りたいか考えてみることが大切です。（Ｉ）
- 書きなれた印象の作品ですが、新しさは感じられませんでした。主人公の生い立ちを含めどんな人なのか伝わらず、恋愛感情にも共感できませんでした。設定を設定だけで終わらせず、物語の中で育ててほしかったなと思いました。（Ｍ）
- 序盤のこの世界の説明、話への引きこみ方がうまく、タイトルの状況へとすぐに展開し読みやすかったです。ヒーローの家族の特殊な上下関係、大きな弱みを持つヒロイン。キャラクター造形が個性的で面白かっただけにもっとその個性を生かしてほしかったです。（Ｍ）
- どのジャンルに向けた作品であるかが不明瞭で、設定も生かしきれていない印象。また、父子と主人公が関わる必然性も感じられず。キャラクターそれぞれの個性ももっと出したほうがよい。簡潔な描写は読みやすく、文章はとてもよかったです。（Ｓ）
- 読みやすい文章で、読者の目を引く要素をたくさん取り入れる器用さを感じました。ただ、何をいちばん書きたかったのかが読み取れず、消化不良のまま終わってしまったのが残念でした。もっと要素を絞って、クライマックスがはっきりするとよいと思います。（Ｙ）
- 読みやすい作品でした。ただ、登場人物がみんな型にはまったキャラクターのような気がしました。もっとオリジナリティが出て、ゲームのようなノリが出てくると、年齢層の若い読者さんに受けるのではないかと思いました。（Ｕ）
- 「波間に咲く花」朧 鏡花
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- 「こういう世界が書きたい」というビジョンが書き手にはっきりあることが感じられました。人魚の裔という設定、魅力的なので、その特性をもう少し生かすとより良かったのでは。ネーミングにも個性があり、好感を持ちました。次作に期待しています。（Ｌ）
- 物語を紡ごうという姿勢が感じられて、好感が持てました。ヒーロー、ヒロインの心の葛藤がもっと書かれていたら読み手が感情移入しやすいと思いました。ワクワクドキドキするようなお話作りを！（Ｉ）
- キャラクターにも設定にも魅力があります。文章に雰囲気があり、幻想的な空気が伝わってきました。ただ枝葉にあたる部分の書き込みが多すぎて、根幹となる物語の筋や重要な伏線が弱い印象を受けました。物語構成をしっかりとしてから書き始めることが重要だと思います。可能性を秘めた書き手だと感じました。次作に期待します。（Ｍ）
- 冒頭の一文目でぐっと引き込まれ、この後どんな展開が!? という期待感がしぼむことなく作品世界に入っていくことができました。著者が主人公に込めた魅力がよく伝わって来て、心情にも共感出来ました。独自の発想、奇抜で魅力的な設定はもっと生かせたはず。次作もぜひ読ませていただきたいです。（Ｍ）
- 各所荒削りではあるものの、物語の自然な流れ、細やかな描写、魅力的なキャラクターに好感がもてます。キャラクターがやや暴走する場面が作品世界とミスマッチに感じられるため、２つをうまく統合できるようになってほしい。ラストでの皇子の想いの切り取り方にひかれました。これら必須でない部分もきちんと表現することは大切です。（Ｓ）
- 書きたいテーマや人間観が伝わってくる魅力的な作品でした。ただ、物語として、それぞれのシーンがつながりきっていないのが残念でした。全体の構成を考えられるようになると、作品力も増すと思います。次作に期待です。（Ｙ）
- 人魚の発想がおもしろかったです。ただ、その発想が生かしきれていなかったり、キャラクターの設定に無理があるかな、というところはありましたが、次回作も読んでみたいと思いました。（Ｕ）
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