STORY
定価:本体750円(税別)
天才奏者の御曹司×臆病な年上眼鏡男子
中郷壱伊(なかざといちい)は、超一流オーディオ機器メーカー〝ナカザト音響〟の御曹司。名門男子校である祠堂(しどう)学院に通う彼は、完璧ともいえる美貌と、トロンボーン奏者としての才能を併せ持つ、稀有な人物だった。一方、兄弟校の祠堂学園を卒業後、音大へ進学した涼代 律(すずしろりつ)は、友人の野沢政貴の依頼で、学院の吹奏楽部の練習を手伝うことに。だが、そこで壱伊にキスをされて……。
定価:本体750円(税別)
中郷壱伊(なかざといちい)は、超一流オーディオ機器メーカー〝ナカザト音響〟の御曹司。名門男子校である祠堂(しどう)学院に通う彼は、完璧ともいえる美貌と、トロンボーン奏者としての才能を併せ持つ、稀有な人物だった。一方、兄弟校の祠堂学園を卒業後、音大へ進学した涼代 律(すずしろりつ)は、友人の野沢政貴の依頼で、学院の吹奏楽部の練習を手伝うことに。だが、そこで壱伊にキスをされて……。
初版限定 書き下ろしSS
特別番外編「噂の男」より
「……葉山くん、やけに急いでるね」
バイオリン科の学生である葉山託生のピアノの伴奏を引き受けてくれている城縞恭尋が、珍しいものを見るように託生を眺めた。
……続きは初版限定特典で☆
初登場記念
ごとうしのぶ先生 スペシャルインタビュー
――まず最初に、本作の主人公はどんな二人ですか? 先生的なおすすめポイントを教えてください。
ごとうしのぶ先生(以下ごとう) 桜ノ宮坂音楽大学2年生の涼代 律(すずしろりつ)と、律の母校である祠堂学園の兄弟校(の兄に当たる)祠堂学院高等学校3年生で、吹奏楽部部長の中郷壱伊(なかざといちい)との、音楽と恋と進路(w)の物語です。
ふたりを繫ぐ共通項は金管楽器の〝トロンボーン″。吹奏楽は好きでも傑出した演奏ができるわけではない、生まれも育ちもルックスもどこまでも平凡な律と、小学生の頃に音楽コンクールで日本のトップを獲った天才で、とてつもない美少年で御曹司でもある壱伊。律にとって壱伊は憧れの存在だが、いざ壱伊の才能に直に触れてみると憧れや好きだけでは済まされない痛みを味わうことになり……。自分に自信が持てず黒縁メガネに隠れるようにして生きていた臆病な律と、どこまでも自然体でてらいなくあっけらかんとしている天才の壱伊の関係は、周囲の人々を巻き込みながら、少しずつ、かみ合ってゆくのです。
推しポイントは、「壱伊、律のこと大っ好きだね!」です。物語が進むにつれてじわりじわりとわかってくるので、ぜひ、そのあたりも楽しんでいただきたいです。
――本作と「タクミくんシリーズ」(角川ルビー文庫)との関係性や、リンクのチェックポイントなどがありましたら教えてください。
ごとう 律の母校である祠堂学園と、壱伊が在学している祠堂学院は兄弟校であり、歴史は学院の方がはるかに長いのですが、なんと、つい数年前まで学院には吹奏楽部がなかったという珍しい高校でした。孤軍奮闘して吹奏楽部を立ち上げたのが、律と同じ大学で同じくトロンボーンを専攻している野沢政貴で、彼は「タクミくんシリーズ」にも登場する託生たちの友人です。託生もちらっと登場しますが、さておき、本作では学園は出てきませんが、学院はたくさん出てきますので(校舎や寮や学食や文化祭も!)、懐かしいポイント盛りだくさんです。
――ごとう先生のお気に入りキャラ、おすすめキャラなどいたら教えてください。
ごとう お気に入りは(主人公たちを除くと)なんといっても野沢政貴でしょうか。彼がいなくては、今回の話は成り立ちませんし、進展しませんでしたし、陰の大立者です。おすすめキャラとなると、……すみません、親バカを承知で、全員です。どのキャラにも愛があります。ですが、強いていえば、壱伊の親友であるツナこと渡辺綱大です。ツナ、イチ、と呼び合うツーカーの仲ですし、彼もまた、重要な陰の協力者、かもしれません。
――初めましての読者の皆様へ、見どころをぜひ。
ごとう 祠堂学院は人里離れた山奥に建つ全寮制の男子高校で、世界レベルの御曹司である崎 義一(ギイ)が入学して以降、入試の倍率が跳ね上がった学校でもあります。この物語の時点ではギイは消息不明の状態で、なんとしても恋人である彼に会いたくて、一縷の望みを託し、ギイのホームグラウンドであるニューヨークのマンハッタンの交換留学を懸けて必死に頑張る託生の存在が、今作の背景に流れています。もしよろしければ、「タクミくんシリーズ」も、ぜひ、読んでいただけますと嬉しいです。律たちの住む世界の広がりを、より、感じていただけるかと思います。
――気になるこの物語の続きは? また、次回作についても教えてください。
ごとう 次回作は1月刊(12月25日頃発売)の『ロレックスに口づけを』というタイトルの、律の母校である祠堂学園(私立の男子校)の生徒たちと、近隣の城東高校(県下随一の進学校で男子多め)の生徒たちの、「花盗人はしあわせな恋ができる」というジンクスを持つバラのアーチにまつわる、恋の物語です。祠堂学園生徒会会長で〝聖域″と呼ばれていた竹内 均と、城東高校生徒会の役員でバレー部の名セッターである新島重起が、目が覚めたら同じベッドに、しかも裸!? という、今ではお馴染みのパターンで始まりますが、実はこの作品は溯ることかれこれ30年近くも前に作られたものでして、それを、現代に即した形で大幅に加筆いたしました。時間軸としては律が高校1年生のときの物語です。律は本編には登場しませんが、けっこうなボリュームで書き下ろしました巻末の短編には登場しています。
そして、『いばらの冠 ブラス・セッション・ラヴァーズ』の2巻目を(タイトル等は未定ですが)、予定させていただいております。気が早いですけれど、こちらも楽しみにしていただけますと、とてもとても嬉しいです。
――読者の皆様へメッセージをお願いします。
ごとう はじめまして、ごとうしのぶと申します。「ホワイトハートで書きませんか?」と、声をかけていただいてからかれこれ……相当な年月が過ぎてしまっておりますが、自分的には、おかげさまで、満を持して『いばらの冠 ブラス・セッション・ラヴァーズ』をお届けすることができました。タクミくんワールドとの繫がりもありますが、律と壱伊の、彼ららしい恋の物語を楽しんでいただきたいです。壱伊は、自分の中では異例の、新しいタイプのスパダリなのですが、これからめきめきとめっちゃスパダリに育ってゆくであろう最有望株ですので、ぜひ、応援してください!
著者からみなさまへ
ホワイトハートで初めて書かせていただきます、ごとうしのぶです。講談社の文芸サイト tree の連載企画「Day to Day」内の「アマビエより愛を込めて」で初登場となりました、祠堂学園卒で音大でトロンボーンを専攻している涼代 律と、そこではあまりステディな感じではありませんでしたが、ゆくゆく同じ大学に進むことになる現在は祠堂学院で吹奏楽部部長トロンボーン担当の中郷壱伊の、恋の物語です。不器用な律と真性アイドル系壱伊の凸凹カップルです。