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ホワイトハート X文庫 | 今月のおすすめ

大柳国華伝 紅牡丹は後宮に咲く ホワイトハート新人賞受賞の『大柳国華伝』がついに刊行です。 そこで、春華が働く大柳国皇城の後宮をより詳しく知ってもらいたい! と、後宮講座を開講します! 大柳国の世界にたっぷりひたってください[ハート] 『大柳国華伝 紅牡丹は後宮に咲く』 芝原歌織/著 尚 月地/イラスト 定価:本体630円(税別)
明明後宮女官講座

明明(めいめい):今日は後宮一の情報通であるこのあたしが、女官の仕事や後宮のしくみについてビシバシ講義してくわよ。

春華(しゅんか):明明は私と同部屋で初めての女官友達なんだ。彼女の毒舌と饒舌、野次馬根性には要注意だぞ。

明明:ちょっと、よけいなこと言うんじゃないわよ!

皇城見取図

明明:じゃあ、まず右の図を見て。皇城の見取図よ。これを見てもらえればわかると思うけど、後宮は皇后の統治する西後宮と、皇太后の統治する東後宮の二つに別れているの。後宮にはそれぞれ女官長がいて、女官たちの風紀や仕事を監督しているわ。あたしたちのいる東後宮の女官長は武鵬杏(ぶ ほうあん)様。長身でお強くてカッコいいの! 陰で「お姐様」と呼んで慕っている女官がいるくらい人気があってお綺麗な方よ。秘密裏に入手した絵姿を特別に公開しちゃうわね。

春華:確かに、美人だな。でも、私は雪(せつ)がこの国で一番綺麗だと思う。雪は優しくて頭もよくて何だってできるんだ。

明明:またあんたの姉さん自慢? 誰も訊いてないわよ。

六掌

明明:じゃあ、次。右の図は六掌(ろくしょう)と呼ばれる女官の役職よ。女官の職務は主にこの六つに大別されるわ。それぞれの末尾の漢字を仕事名に変換すると覚えやすいわよ。掌衣(しょうい)だったら服、後は食書、警殿、務、といった感じでね。 

春華:明明は三年も後宮にいて、掌庶(しょうしょ)の期待の星なんだよな。

明明:あら、あんたもたまにはいいこと言うじゃない。

春華:私はどの掌に配属されるんだろう。料理が好きだから掌膳(しょうぜん)あたりがいいな。鏢局(ひょうきょく)にいた時、私が料理当番になった翌日には、なぜか急病人が続出してたんだが。

明明:……あんた、掌膳にだけは絶対にならないでよ。

春華:後宮のことはよくわかったが、この皇城には他にどんな人たちが暮らしているんだ?

大柳国華伝 紅牡丹は後宮に咲く

明明:暮らしているというなら、それは皇族しかいないわね。後宮の南には男性皇族の居住区があるわ。主な要人は皇帝と二人の皇子ということになるのかしら。下の図を見て。皇帝には五人の皇子がいたんだけど、第四皇子と第五皇子以外は皆、早世してしまったの。その死因については皇后が毒殺したとか、色々と不穏な噂があるんだけど。

春華:今、生存している皇子はどんな人物なんだ?

明明:第四皇子は現皇后の一人息子で、次期皇帝と目されている人物よ。今年二十歳になると聞いているわ。見た目は……、まあ、見たらわかるわ。色々とすごいから。第五皇子については謎が多いわね。体が弱いらしくて、これまで公の場にはほとんど姿を現してこなかったらしいの。でも、聞くところによると、超絶美形って話よ。

春華:超絶美形? でも、私は雪がこの国で一番綺麗だと思うぞ。雪は——。

明明:今度開かれる宴に参加するって噂があるから、拝見するのが楽しみね!

皇族家系図
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