979年皐月(さつき)。清原家の末娘・諾子は、雨の降る庭を眺め、柄にもなく物思いに耽(ふけ)っていた。すると、山吹(やまぶき)の茂みに埋もれるようにして、しくしく泣いている童子が。年の頃はまだ三つ四つ、尼削(にそ)ぎの髪も愛らしい、ぷっくらした子供だ。 (……やっぱり、言葉が通じる相手だと、見込まれちゃったみたい……) これは、「鬼見」の才がある自分の許(もと)に現れた物の怪だと気づいた諾子は、仕方なく話をきくことに。 |
そして、童(わらわ)に訊ねてみた。 |
「山吹」と「川」をヒントに、師匠の慶滋保胤から「水無瀬川(みなせがわ)」というキーワードを引き出した諾子。 むむむ————。
いつもは諾子を「変わり者」と呼ぶ則光。
一方、粗忽者(そこつ)で無骨者(ぶこつ)で剣術しか興味のない則光を「莫迦(ばか)」と罵(ののし)る諾子。 そして、ついに邸をひとり抜け出した諾子。だが、それが則光や藤原家の御曹司(おんぞうし)にばれたものだから、もう大変! |
姫様の旅の行方は? そして、恋の行方はどうなるのぉぉぉぉぉ!? お転婆(てんば)姫様、諾子が大活躍する「魍魎の都」シリーズ、 |