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- 高市京介(たかいち・きょうすけ)
- 編集者として多忙な日々を送りながらも、長年の想い人である琢馬を公私ともに支える。日本橋の繊維問屋に育った五男坊。一見無愛想に見えるが、実は情に篤い美貌の持ち主。家柄・英知ともに兼ね備えているが、どこか報われない忍耐の人。
- 石木琢馬(いしき・たくま)
- 京介によって、その才能を引き出された新鋭の詩人。一高時代は首席を通すも、家の事情から帝大進学を断念した苦労人。肺の病をわずらっている幼馴染みのせつこを妻とすることに。華奢で天然で、少年ぽさがいつまでも抜けない善人。
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- 横山春洋(よこやま・はるみ)
- 吉原遊廓に生まれ育った次男坊。京介・琢馬とは一高時代からの級友だが、自身は一高を辞め単身京都へ。日本画家となる。梔子の香りに似た体臭が、妙な色気となって男を惑わせる。毒舌だが、実は情にもろく傷つきやすい心を隠し持つ。
- 岡野紘彦(おかの・ひろひこ)
- 羽振りのよい材木問屋の次男坊。初めて訪れた遊廓の座敷で、春洋と出会う。年下でありながらも、春洋を想う気持ちはひとしお。純情、天真爛漫で根っからのお坊ちゃまだが、意外な一面も。第3巻では、汗の似合う江戸っ子に成長する。
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舞台は大正に元号が変わった頃の帝都。給付生として一高に入学した石木琢馬は、桜の下で出逢った美しい青年・高市京介に、かつてない感情を抱いていた。自作の詩をしたためた雑記帳を教室に忘れてきた琢馬は、あわてて教室に駆け戻る。そこで雑記帳を読んでいたのは、あの京介だった。やがて詩人と編集者となる二人の関係は親友のままなのか。京介の狂おしいまでの想いは、封印されたまま永遠に続くはずだった。しかし……。 |
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三十路に入り、編集者として多忙な日々を送る高市京介と、詩人としての地位を得つつある石木琢馬。しかし琢馬は、まだ誰にも告げられぬ事実を胸に秘めていた。そんな不安を抱える琢馬の前に突然現れた京介の後輩、美作重三郎。美作の挑むような視線に琢馬は心惑わされる。そして、予想だにしない出来事が彼らを襲う……。 |
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女たちがひしめき合う吉原遊廓で生まれ育った横山春洋は、帝都の一高を辞め、京都で絵画を学ぶ身となっていた。久しぶりの実家で座敷にあがった春洋は、馴染み客の息子・岡野紘彦と出逢う。紘彦からのまっすぐで無垢な求愛に、心惑わされる春洋。やがてただならぬ関係になるが、ある誤解からふたりの心はすれちがってしまうことに。 |
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横山春洋は日本画の画匠に、岡野紘彦は帝大生として家業を手伝う身となる。前作『梔子香る夜を束ねて』でのすれ違いを克服したふたりは、離れていた時間を惜しむように逢瀬を重ねる。しかし、紘彦にとって春洋はまだなお遠い人。早く一人前になりたいと願うも、それを試すかのように再びふたりを引き裂く出来事が……。 |
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