講談社BOOK倶楽部

ホワイトハート X文庫 | 受賞記念インタビュー
ホワイトハート新人賞2014年下期 受賞記念インタビュー 『ルベト ~夕照の少女~』で、佳作を受賞した葵(あおい)みどりさん。今回が処女作にも関わらず、魅力溢れる世界観で選考委員をうならせました。そのフレッシュな素顔に迫ります! まずは佳作受賞おめでとうございます! ありがとうございます。本当に嬉しくてビックリです。今は、このスタート地点から頑張っていきたい気持ちでいっぱいです。 編集部から受賞の連絡を受けたときはどんなお気持ちでしたか? 最初は信じられなくて、仰っていることが何も頭に入ってきませんでした。数時間後にお電話して夢じゃないかどうか確認しました。すみません。そしてありがとうございました。 どなたかに受賞を伝えましたか? その反応はどんなものでしたか? 家族と友人と先生に。みんな驚いていましたが、報告しながら誰より私が「どうしよう!?」って一番驚いていました。 現在大学院に在学中とのことですが、ご自身を取り巻く環境から影響を受けたものはありますか? 様々な国と時代の文化や価値観、世界観に触れることが多いのですが、そこから学んだことは作品を書く上でとても刺激になりました。また、家族や友人たちとの交流も、作品を作っていくうえでたいへん役立ち、勉強になりました。自分と違う考え方や価値観を知るという事は、自分自身が「大切にしているもの」を考える良い機会になったと思います。 受賞作について教えてください。本作は異世界を舞台にしたファンタジーですが、受賞作を書こうと思ったきっかけは何ですか? アイディアはどんなところから得ましたか? まず頭に浮かんだのが、赤いボレロを着た女の子が、赤い馬に乗って草原を走っている姿でした。彼女は焦がれるように遠くを見つめていたので、「どうしてこの子はこんなに真っ直ぐ、遠くを見つめて走っているのだろう」と考えるところから始まりました。彼女の姿を追っていくうちに、どんどん世界が広がっていき、そして、この世界の事を書いてみたいと思いました。それがきっかけです。頭に浮かんできたキャラクターからアイディアを貰ったという感じです。 受賞作のヒロインは若く真っ直ぐでとても熱い心を持った少女です。葵さんと重なるところ、異なるところを教えてください。 一番重なるところは「世間知らずなところ」です。そして異なるところは、「彼女は物怖じしない」。私はいつでも「大丈夫かな~」とドキドキしています! 今回初投稿作品ということですが、投稿先にホワイトハートを選んだ理由はありますか? 中学生の頃に『十二国記』というアニメを見て、そこからX文庫ホワイトハートさんを知りました。『十二国記』は今でも一番好きな少女小説ですので、やっぱり最初は憧れの方と同じところに出したいな……という理由で、投稿させていただきました。 影響を受けた作品、作家、映画、音楽、人物などを教えてください。 日本の作家では小野不由美さん、宮城谷昌光さん、上橋菜穂子さんです。小野不由美さんは、緻密な設定、思春期の少女の内部へもぐる様な心理描写に圧倒されましたね。宮城谷昌光さんの作品、とくに『夏姫春秋』にはこんなに美しい表現があったのかと驚いて、徹夜して読みました。上橋菜穂子さんは『狐笛のかなた』が好きで、日本のファンタジーの王道を行く方だと思っています。海外作家ではドイツの『トニオ・クレーゲル』『魔の山』のトーマス・マン、イギリスの『レイチェルシリーズ』のクリフ・マクニッシュ、あとは『ハリー・ポッターシリーズ』等でしょうか。子どものころよく聞かせてもらった日本の昔話や海外の童話、「ギリシア神話」「北欧神話」などの影響も強いと思います。幻想的でありつつリアルで残酷な世界観に引き込まれました。感銘を受けたのがヴィクトール・エミール・フランクルの『夜と霧』です。とくにフランクルの考え方には影響されています。漫画では「モーニング」で連載していた『蒼天航路』でしょうか。キャラクターの一人一人が比べようもなく魅力的で、「人が生きるということ」を鮮烈に、力強く描いた作品は心に残ります。 これからどんな作品を書いてみたいですか? やっぱり一番は、読者さんがドキドキワクワクできるような作品です。「ああ、面白かった!」と思ってもらえたら幸せです。内容的には、種族や性別、文化や階級を超えた心の繋がりや、「譲れないもの」を持った人の姿を描いていけたらいいなと思っています。 ホワイトハート読者へメッセージをお願いします。 はじめまして。葵みどりと申します。かつて一読者であった私が、今、ここでインタビューにお答えしているのは本当に夢のようで、実は今でもまだ信じられません。ですが、これから読者の皆様に「面白い!」「楽しい!」「心に残るなぁ」と思っていただける作品が書けるように頑張ります。よろしくお願いします!