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ホワイトハート X文庫 | 今月のおすすめ

ゆるゆる男子の花婿選び ゆるゆる男子の花婿選び

森山侑紀の不思議ワールドに、新作登場!!
『世界で一番不思議なあの子』『世界で一番可愛いあの子』の森山ワールドを楽しみにしてくださっていたみなさま、お久しぶりです。
この夏、ついに新作が登場しました。そのタイトルも『ゆるゆる男子の花婿選び』。
男子が花婿選び!? と気になるみなさま、ここではそのゆるゆる男子な伊毬と、その幼なじみ・大地がナビゲーターになり、気になる登場人物たちを紹介しちゃいます!
『世界で一番不思議なあの子』『世界で一番可愛いあの子』のあの人たちも登場しますよ★それではどうぞ!

花園伊毬(はなぞのいまり)

花園伊毬(はなぞのいまり)


桜九条学園高等部二年生
花園グループ会長の跡取りにして妖狐一族の長の跡取り
成績のあまりの悪さに進級が危ぶまれる

的場大地(まとばだいち)

的場大地(まとばだいち)


桜九条学園高等部二年生
花園家につかえる執事の孫
両親を事故で亡くし、花園家に引き取られる

伊毬

「好きなのはお稲荷さんと油揚げとチョコレートとバナナとたい焼きとシュークリームととんこつ醤油ラーメンとどら焼きとイチゴプリンとカツ丼と豆大福とあんみつと焼きおにぎりとメロンパンとドーナツとケチャップのかかったオムライスとたこ焼きとみかんとさくらんぼと桃とソース焼きそばとパイナップルとスイカとフレンチトーストと栗饅頭と焼き芋とみたらし団子とギョーザとアイスクリームが乗ったアップルパイとふわふわのケーキとバターいっぱいのケーキと生クリームがたくさんついたケーキとさくさくっとしたパイと」

大地

「伊毬、まさか、自己紹介は好きな食い物を言うことだと思っているのか?」

伊毬

「違うの?」

大地

「違う」

伊毬

「じゃあ、自己紹介って何を言うの?」

大地

「……次に行こうか」
花園伊織(はなぞのいおり)
伊毬の母だが世間的には父
稲荷寿司の製造及び販売からダムの建設まで、世界的に事業を展開している花園グループ会長
IQ220の大天才
旧花園侯爵家当主
後継者である伊毬の馬鹿っぷりに悩んでいる真っ最中

伊毬

「僕のママなんだけど、みんなの前でママって呼んじゃ駄目なんだって」

大地

「人前では『お父さん』と呼べよ。世界に名だたる花園グループの会長だ」

伊毬

「うん、お父さん、恐いもん。勉強しろって家庭教師いっぱいつけるし」

大地

「そりゃ、お前は花園グループ会長の跡取り息子だから厳しくなるさ」

伊毬

「僕に花園グループの会長は無理だよ。お父さんの跡は継がない」

大地

「伊織会長の子供は伊毬しかいないんだから仕方がないだろう」

伊毬

「だから、僕は絶対にいや。大地がお父さんの跡を継げばいいのっ」

大地

「俺は執事の孫だ。祖父ちゃんに殺される」

伊毬

「そんなの、なんでいいの。大地が次の花園グループ会長なの」

大地

「……次に行こうか」
嘉祥(かしょう)
伊毬の父
悠久の時を生きる九尾の狐にして妖狐一族の長
一粒種である伊毬の溺愛ぶりは有名

伊毬

「僕の父上なんだけど人間じゃないの」

大地

「日本を海に沈める妖力があるらしい。その気になれば世界の王になれる」

伊毬

「でも、九尾の狐の父上より人間のお父さんのほうが強いの。父上はお父さんには逆らえないんだよ」

大地

「伊織会長、尻に敷いているよな」

伊毬

「妻は夫に従うべし、ってお父さんが父上に言ってるもん。お婿さんよりお嫁さんのほうが強いんだね」

大地

「……う」

伊毬

「父上とお父さんを見てたら、お嫁さんのほうがいいや。大地、僕がお嫁さんになるから大地がお婿さんだよ。父上の跡を継いでね」

大地

「俺に妖狐一族の長の跡取りは無理だ」

伊毬

「そんなの、僕にだって絶対に無理だから、大地がなるんだよっ」

大地

「……次に行こう」
真乃(まの)
伊毬の父
伊毬の祖母
嘉祥の母にて悠久の時を生きる九尾の狐
孫である伊毬への溺愛ぶりは有名

伊毬

「とっても優しくて綺麗なんだ。僕の大好きなお祖母様だよ」

大地

「俺も」

伊毬

「僕、昔から真乃お祖母様をお嫁さんにするって決めていたのに」

大地

「いくらなんでも、真乃お祖母様と結婚できないって、もう知っているよな?」

伊毬

「うん、ショックだった。父上が言う通り、人の世はままならなくて、儚いんだね」

大地

「………」

伊毬

「大地、どうしたの?」

大地

「……次に行こう」
ウリエル・ラドクリフ

ウリエル・ラドクリフ


桜九条学園高等部三年生
生徒会長
ニューヨークに本拠地を置くラドクリフ財閥の若き総帥
前ラドクリフ総帥は九尾の狐を狙い、伊毬を誘拐・軟禁したことがある

 

伊毬

「僕にドーナツをくれたの。ドーナツのお兄ちゃんだよ」

大地

「ドーナツのお兄ちゃんじゃない。九尾の狐を狙う卑怯な奴だ」

伊毬

「ドーナツのお兄ちゃんは優しかったもん」

大地

「優しそうな仮面を被っているだけだ。あいつは世界経済の支配者、ラドクリフ総帥だ。お前を利用するつもりなんだぞ? それもわからないのか?」

伊毬

「……ん?」

大地

「二度と近寄るな」

伊毬

「だって、とっても美味しいごはんを……」

大地

「メシなんかに釣られるな。次に行くぜっ」
淳和(じゅんな)

淳和(じゅんな)


桜九条学園高等部に編入
銀狼一族の長

 

伊毬

「父上に似てる」

大地

「俺もそう思う」

伊毬

「父上に似てるから悪い子じゃないよ」

大地

「どこからそういう考えが出るのか不思議だ」

伊毬

「なんで? 僕の父上に似てるからいい子に決まってる」

大地

「そうだったらいいな」

伊毬

「うん、きっと父上みたいに優しいんだよ。そんでもって、父上みたいにお嫁さんにいじめられてるのかもしれない」

大地

「お前の頭の中がどうなっているのか確かめるのが怖い」

伊毬

「……え?」

大地

「次に行こう」
相葉寛成(あいばひろなり)
桜九条学園の理事長かつ相葉学院の理事長
旧相葉侯爵家当主
水野和也の母親

伊毬

「うちの理事長だ」

大地

「次に行こう」

伊毬

「……え? もう?」

大地

「理事長の性格がどれだけ悪いか、伊織会長から聞いて知っているだろう」

伊毬

「絶対に近づくな、ってお父さんに言われた。人食い鬼より危ないって」

大地

「そうだ、理事長はあんなに綺麗だけど、本当に夢みたいに綺麗だけど、とんでもないワルだ。俺もわけがわからねぇ」

伊毬

「理事長より僕のお父さんのほうが綺麗だよ。父上もいつもそう言っているもん、理事長よりお父さんのほうがずっとずっと綺麗だって」

大地

「そういうことを言っているんじゃない。なんでそんなところに反応するんだよ」

伊毬

「……ん?」

大地

「次に行こう」
水野和也(みずのかずや)
相葉家学園高等部二年生
次期・相葉家の当主

伊毬

「理事長の赤ちゃんだよ」

大地

「もう赤ちゃんじゃない。お前と同い年だ」

伊毬

「男の子だよね?」

大地

「男になったり、女になったり、性別がころころ変わる。つい最近、アライグマになったそうだ」

伊毬

「すごいね、理事長の子は変身の術が使えるんだ」

大地

「いや、違う、自分でコントロールできないらしい」

伊毬

「大地、この子と結婚しちゃ駄目だよ」

大地

「しねぇよ。そもそも、その結婚話は悪名高い理事長のほんの気まぐれだ」

伊毬

「大地は誕生日プレゼントにもらったんだもん。僕のものだもん。相葉家にあげないもん」

大地

「おい、だから、人の話を聞け……ああ、もう、次に行こう」
小田切真澄(おだぎりますみ)
相葉学院高等部二年生
小田切グループ会長の跡取り息子
相葉和也の婚約者

伊毬

「雪女の赤ちゃんだよ」

大地

「だから、もう赤ちゃんじゃないって。彼が次期・相葉家当主の婚約者だ」

伊毬

「理事長の子の婚約者?」

大地

「そうだ。お前も何度か会ったことがあるだろう? 非の打ち所のない男だ」

伊毬

「婚約者がいるのに、どうして大地に婿養子に入れ、って理事長は言ったの?」

大地

「だから、理事長の気まぐれだって言っているだろう。始めから俺を相葉家の婿にする気なんかない。ただ単に騒動を起こしたかったのかな」

伊毬

「なんで、理事長がそんなことをするの?」

大地

「何度も言っているだろう、理事長はわけがわからない。史上最低のトラブルメーカーだ」

伊毬

「理事長、よくわかんない」

大地

「俺にだってわからねぇよ。どんなに考えても時間の無駄だ。次に行こう」
水野雅也(みずのまさや)
和也の父親
紆余曲折を経て、現在、花園グループ系列会社に勤務

伊毬

「理事長のお婿さんだね。ひどい男だ、って理事長が言ってた」

大地

「ひどいのは理事長だと思う」

伊毬

「生んだばかりの赤ちゃんを連れて逃げちゃったんだって、理事長は泣いていたよ」

大地

「嘘泣きだから本気にするな。そもそも、悪いのは全部、理事長だから」

伊毬

「お婿さんも赤ちゃんもいなくなって、寂しいって、理事長が言ってた。本当に寂しそうだったよ。僕、寂しい人はわかるの」

大地

「自業自得、理事長に同情する必要はない」

伊毬

「赤ちゃんは戻ったんだよね。お婿さんも理事長のところに戻ってあげればいいのに」

大地

「……う」

伊毬

「だって、お婿さんは理事長が好きだから結婚したんでしょう? 父上もお父さんが好きだからお嫁さんにもらったって言っているよ。お父さんをお嫁さんにもらって幸せだって言っているのに」

大地

「俺に聞かないでくれ」

伊毬

「お婿さんに聞けばいいの?」

大地

「気の毒だからやめておけ……っていうより、理事長だけじゃなくて、理事長の関係者にもできるならば近づかないほうがいい。それだけは確かだ。本当に理事長はとんでもない。最低だとか性悪だとか、そんな一言では表せないほど凶悪な人物だ」

理事長

「君たち、私を誤解しているみたいだね」

伊毬

「あ、理事長」

大地

「うわっ、伊毬、逃げるぞっ」

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