『とりかえ花嫁の冥婚 偽りの公主』&
『とりかえ花嫁の冥婚 身代わりの伴侶』2か月連続刊行記念
貴嶋 啓先生 スペシャルインタビュー!
お久しぶりの登場ということで、まずは近況&ご挨拶をお願いします。
貴嶋 啓(以下貴嶋)ご無沙汰しております、貴嶋 啓です。前作から1年以上の月日が経ってしまいましたが、この度ようやく新作をお届けすることができました。今回は2作分まとめて書いていただけでなく、1作まるまる書き直したり、体調不良が続いたり(たいしたことのないはずの風邪で3週間寝込むとか)などが重なり、どんどん刊行が遅れてしまいまして……(汗)。ただ時間をかけたぶん、自分のこだわりを妥協しないで書けた作品になったのではないかと思います!
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貴嶋先生の最近の日常は、どんな感じですか?
貴嶋 なんの変哲もない平凡な日々を送っています(笑)。ただ2連作ということで長期間引きこもって原稿に向かっていた反動か、最近は毎月のように温泉通いしてしまっています!
今回の2冊の新刊(7月に1作目、8月に2作目)「とりかえ花嫁の冥婚」は、どういったいきさつや、発想で作られたのでしょうか。作品に込めた思いや、この本を書くきっかけなどを教えてください。
貴嶋 もともと清朝初期の歴史が好きで、北の一部族国家にすぎなかった後金(後の清)が、各部族を統合し中原にまで国土を広げていく過程を非常にドラマチックだと思っていました。とくに順治(じゅんち)・康熙(こうき)帝あたりの時代が好きなので、そのころを参考にしてなにかお話が書けないかなと。それに加えて、伝統的な中国の結婚では花嫁が紅蓋頭という頭巾を被る習慣があるので、人が入れ替わってもまわりは誰もわからないなと考えたのも、ストーリーを思いついたきっかけのひとつです。
顔を隠すのが通常運転のアラビアンでお話をつくってもよかったのですが、長年中華を書きたいという希望があったのと、またただ花嫁が入れ替わるだけでなく、死者と結婚する「冥婚」という独特の風習を絡ませるのも面白いのではないかと思って執筆しました。
ずばり、本作のおすすめポイントは?
貴嶋 本作は、それぞれ男性不信と女性不信というヒロイン・ヒーローが、“兄妹”として信頼しあうなかで気づかないうちに恋愛感情を抱いてしまい、真相が暴露されたとたん一気にそれを自覚させられるというお話になっています。突然目の前に突きつけられた恋心に右往左往し、それを簡単に受け入れられないヒロインとヒーローのせつないすれ違いに、胸キュンしていただければ幸いです!
これは読者の皆さんにお伝えしたい! という制作上の秘密エピソードはありますか。
貴嶋 1作目の「偽りの公主」のあとがきにも書かせていただきましたが、実は今作、清朝をイメージして書いたために、私の脳内における男キャラはみな辮髪(べんぱつ)をしていました! ですが、さすがにこのジャンルでそれは許されないだろうと……(笑)。そこで、すがはら先生に自由に描いていただきたい旨をお伝えさせていただいたところ、私の貧困な想像力では思いもつかない美麗な絵を描いていただいて、本当に感謝です! 2冊でひとつの絵になる表紙もとてもきれいで、手元に2冊そろうのが今からとても楽しみです。
8月刊行の2作目『とりかえ花嫁の冥婚 身代わりの伴侶』についても、いろいろ教えてください。
貴嶋 実はこの「とりかえ花嫁の冥婚」2連作を執筆するにあたって、最初にイメージが出来あがったキャラクターは、2作目のヒーローである玄磊(げんらい)になります。彼にはモデルがいまして、それが清朝初期に三藩の乱を主導した呉三桂(ごさんけい)の息子・呉応熊(ごおうゆう)という人になります。康熙帝の妹・建寧(けんねい)公主の額駙(がくふ)(清朝における公主の婿・駙馬のこと)として清朝の人質とされ、史実では乱の勃発後に処刑されてしまうという不憫な人です。
この連作は「もとのままだったら悲惨な結果を迎えたはずが、ヒロインふたりが運命をとりかえたことで大団円となる」というのを目指して書かせていただきました。そしてそう考えたきっかけのひとつは、この呉応熊を「ハッピーエンドにしてやりたい!」という気持ちからでした(笑)。タイトルにもある「冥婚」の秘密や、「身代わり」の意味など、このシリーズの根幹にかかわるお話になりますので、どちらもぜひよろしくお願いいたします!
ありがとうございました!
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著者からみなさまへ
久しぶりの新刊になります! 初の中華ものを書かせていただきました。「運命をとりかえる」をテーマにしたダブルヒロインの連作となっておりまして、今回はその一作目となります。男が信じられずに自立して茶葉商を営む黎禾と、女性に囲まれながら同じく女が信じられないという皇太子の隆翔。黎禾が公主に間違えられ兄妹という関係にならなければ、互いに恋愛に発展するはずもなかったふたりの、不器用な恋模様を楽しんでいただければ幸いです!