妾だった母親が亡くなり、高利貸を営む父親に引き取られることになった14歳の与一郎。だが、すぐに父親も他界し、与一郎を嫌った継母は、彼を暗い蔵に閉じこめたのだった。 だれか自分を殺しに来てくれないか……。 深い絶望のふちにあった与一郎を救ってくれたのは、狐の面をかぶった少年・藤吉だった。 |
|
藤吉は与一郎と同じ年ごろで、帝都では有名な掏摸(すり)の大親分、清水熊次が仕切る屋敷で暮らしていた。助けられた与一郎も同じ屋敷に身を寄せることになる。 やがて藤吉は、幽閉生活で弱りきった与一郎の面倒をみるうちに、執着にも似た愛情を抱くようになっていく。一方、与一郎は、神業(かみわざ)と賞される掏摸の腕をもつ藤吉に、憧れとも羨望ともいえる複雑な思いをかみしめていた。 |
|
だが、ある夜のこと、与一朗は突然、「親子の縁を切る」と熊次に言い渡されてしまう。再び棄(す)てられたのだと傷ついた与一郎は、藤吉にも裏切られたと感じながら屋敷をあとにする。だが、そこには衝撃の事実が隠されていた——。 |
人気シリーズ『帝都万華鏡』に続く新シリーズも、華麗な大正ロマンが炸裂。
与一郎と藤吉の愛憎の行く末は!? 濃艶でエロティックな大人のBL!