- 大賞
- 該当作品なし
- 佳作
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「五二㎐の鯨啼」
師嗄 夜
「無能と呼ばれる二世皇帝の妻になったら、毎日暗殺を仕掛けられて大変です」
佐伯 鮪
佳 作 講 評
「五二㎐の鯨啼」
師嗄 夜
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セリフや人物描写が巧みで主人公のキャラがとても生き生きと感じられます。アクションも絵が浮かぶように記されておりワクワクさせられました。特殊な世界の設定も違和感なく読ませてくれるので、今後が楽しみな書き手です。せっかく物語を楽しませる力があるのだから、読者がどう読んだらいいか迷子になるようなプロローグはなしにした方がよいでしょう。また、登場人物が少ない分、それぞれの感情の変化はより掘り下げて書くことができたはずです。(O)
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設定が目新しくて興味を惹かれました。誰もが記憶に新しいであろう令和への改元をテーマにしているのは秀逸だと思います。ただ、そんな面白い設定の中で、ストーリーとしてはややごちゃついている印象も。何度か置いてけぼりにされてしまいました。(F)
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設定が攻めていて面白い。がそれをもう少し伝わりやすくする構成であると良かった。キャラクターや細々な表現も魅力にもがある。この作品についてはBLの必要性があるかどうか、必要であればその要素を活かす場面や明確な関係性がほしい。またその場合は特に「私」ではなく「俺」のほうがキャラのカテゴリがわかりやすくなるのでは?(Y)
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「平成31年5月」という実際に存在しない世界線へ迷い込むという設定はそれだけで読者の興味をひく。キャラクター造形には斬新さはないものの、安定した文章力でどんどん先を読ませる。ただし、これを「BL」のカテゴリーに入れるのは少々厳しい。むしろBLという枠ではないほうが先入観がなく読める。また、著者の若さも高く評価したい。エンタメとして足りない部分がはっきりしているので、調整次第で化けるのではないか。(H)
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平成31年5月という誰もが知っていて誰もが知らない迷い込むという設定にとても魅力を感じた。その分、キャラクターがなぜそう思ったか、なぜその発言に至ったかという心理描写が不足していて、何度となく唐突な印象を受けた。雰囲気のある言葉だけで推し進めるのではなく、世界観の説明をきちんとし、場面、人物、関係性、気持ちの変化など、読者に伝わりやすくする構成も必要では。(K)
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発想が斬新で、独特な世界観が面白いと思いました。キャラクターも内容も大変個性的で、哲学的な要素も盛り込んであり、小説として味わい深かったです。が、その独特な世界観にハマれば魅力的に感じますが、とっつきにくい印象もあるので、ついていけない、わかりにくいと感じる人もいるのでは……。もう少し読者に歩み寄る必要があると思います。キャラクターや世界観はそのままでも、もっと読者にわかりやすい描写や、共感できる内容を盛り込んでいく、特に冒頭から数十ページは上手に読者を導入できるような描写が必要だと思いました。(I)
「無能と呼ばれる二世皇帝の妻になったら、毎日暗殺を仕掛けられて大変です」
佐伯 鮪
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とても読みやすく主人公に感情移入のできる作品でした。ただし、異世界転生と中華ファンタジーはそれぞれが人気のあるジャンルなので、他の作品との差異化、オリジナリティを発揮するのはかなり困難です。秀逸なタイトルで読者を引きつけることに成功したのですから、タイトルに負けない二転三転の展開が欲しいと思います。物語を読み進めるために必要な「謎」を用意し読者を飽きさせない工夫があったらさらに高評価になったと思います。(O)
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非常に読みやすく、テンポよく一気読みしてしまいました。ただ、目新しさという刺激はあまり感じられず。ストーリーの山場という意味でもちょっと物足りなかったかもしれません。タイトルにある以上、もっと暗殺は仕掛けられてほしかった(そしてかっこよく乗り越えてほしかった)。(F)
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タイトルどおり、設定は無難ながら良い。主人公の性格には共感しやすいが、年齢、ヒロインらしさ、ロマンス感、が読者的には物足りないのでは。出会ってからのヒーローの物わかりの良さへの違和感と、彼氏力不足が残念なところ。(Y)
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いわゆる「なろう」的少女小説のいいところどり。構成としては予想の範囲内ではあるが、当初の予想を裏切らないつくりによる予定調和、という意味で楽しく読める。Web媒体で読む作品としての安心感があり、欠点が目立たない作品だが、定番を徹底的に網羅していることで、個々のキャラクターの魅力自体はやや弱い。また、タイトルから受ける印象ほどには内容にインパクトがない。(H)
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読みやすい、世界観に入りやすい。が、明確な悪が見えないうえ、裏がありそうな登場人物も比較的よい人どまり。タイトルにある「暗殺」も嫌がらせレベルだったので、なにかひとつでも盛り上がる山場がほしかった。暗殺でも兄弟争いでも国の危機でもなんでも、ストーリーを盛り上げるドラマティックな展開を意識するとよいのでは。言葉遣いはいっそすべて現代口語でもいいのかも。(K)
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描写が丁寧で、テンポよく楽しく読めました。特に主人公の描写は心情表現も含めて大変上手で、とても共感ができました。ただし、こういった異世界に飛ばされる系の作品は、とても多く出版されているので、その中で突出するにはキャラクターが弱すぎるかな、特にヒーローのキャラが弱いと思いました。年下の甘えん坊系ならもっと極端に、もしくは二面性を大きく打ちだすなら、裏表をしっかりと出す……といった工夫をすることで、キャラクターの個性や魅力がもっと出てくると思います。そしてもう一つの課題は、主人公二人の恋愛描写が足りない、絡みが少ない、ということです。読者が読みたいのは、二人の恋愛なので、そこを重点的に、もっとドキドキするエピソードを盛り込んだり、すれ違いでやきもきする部分もあったり、恋愛を主軸において、しっかり描写してほしかったです。(I)
最終選考作 講 評
「α捜査官の愛しきΩ」
来栖みさ
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ホワイトハートの読者にとってはなじみの薄いオメガバースものをほどよく提示してくれた作品でした。ただ、展開にお約束が多く、「今この作品を読む必然性」が感じられませんでした。デビューされているだけあって文章は他の作品より頭一つ抜け出ていましたが、新人賞という性格上、「新しい才能」を推したいという思いが編集部としては強かったため、惜しくも受賞とはなりませんでした。(O)
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ストーリーとしては最初から展開が読めてしまい、ハッとするような驚きに出会えなかったのは残念です。ただ、オメガバースものを読むのはこれが初めてでしたが、詳細な説明がされており、置いてけぼりにされるようなこともなく。最初がこの作品で良かったなという感想です。(F)
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Ωα説明部分などはもう少し簡略化したほうがよいのでは。レーベルへの投稿作品として、この設定がベストと判断されてこられたのは正しいと思います。そういった俯瞰的なところと、作品内でのキャラクターの恋愛描写、バランスはとれていて良いです。(Y)
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オメガバースもののBL作品として手堅い印象。WHレーベルとして安定して人気のある「警察組織もの」ということもあり、オメガバース設定のわりに、とても地に足がついている印象がある。が、それゆえにオメガバースとしての特性がうまく作品に反映されていないのも残念。たとえばヒートにおけるラブシーン描写の不足などに物足りなさがあった。(H)
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構成も設定もしっかりしている。主役2人の気持ちの近づき方も丁寧。手慣れている感を感じるが、それゆえに、事件のスケールの小ささ、脇キャラの魅力不足も気になる。キャラにぐっと感情移入できるようなエモさと勢いがほしい。オメガバースとしては物足りなさも感じた。二度のヒートをもっと熱量たっぷりに描写してもよかった。(K)
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描写が丁寧で、キャラクターもとても魅力的に描かれていたと思います。特に恋愛の心情描写の盛り上がりや、エッチシーンの際どさはすごくよかったです。キャラも恋愛もいいのですが、警察官である必然性、警察官署長という立場のリアリティは薄いと思いました。また、ほとんどが攻め視点で進みますが、読者が求めているのは受け視点なので、受けである鷺沢の視点をもっと読みたかったです。運命の番が見つかる確率は相当低い、というわりに、主人公は簡単に見つかってしまった印象がぬぐえないので、そのへんをうまく奇跡的な出会いのように描写するとさらによくなるでは。(I)
「その者、神の使いか死の使いか」
海野つばさ
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少年漫画誌のような派手な展開は、そのジャンルに女性読者が多いことからも期待をさせてくれました。ただし広げた風呂敷を畳みきれないやや尻窄みな展開になってしまいました。最近の少年漫画でも敵側のキャラに深いストーリーがあるものが人気を博しています。そこには人間ドラマがあり、戦わなければならない説得力があります。今作ではその要素が弱かったため今一歩という評価になってしまいました。(O)
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いきなり主人公が覚醒して強くなる、ラノベの王道展開ですね。王道の中でオリジナリティを持たせようとする工夫は随所に感じられたものの、結果まとまりきらなくなってしまっている印象です。あとは主人公のキャラクターが最後までつかみきれず、そこはもう少し詳細に描写してほしかったところです。(F)
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主人公の設定や普通キャラらしさは好感が持てるが、名前まで内容に寄せてしまわないほうがよいのでは。穴が空いてと、お約束の大風呂敷で期待が持たれる分、物語の意図や主役(せめて兄弟妹の絆など?)の思い、など何か柱になる沸点がほしかった。※必ずしも作品に意図が必須ということではない。メッセージで触れていたジャンルへの期待や将来への展望は正しいと思います。(Y)
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いい意味で中二病感にあふれている。設定や単語のセレクトなど、「そういうファンタジージャンルが好き」な読者にささりやすい作品。設定は濃厚だが、ストーリー自体はそこまで大上段に構えていないので、読みやすい反面、肩すかし感も否めない。読者に対するサービス精神が旺盛な作者と推測されるので、設定をうまく活かし、キャラクターの魅力を増幅させる方向で、さらなる創作に挑んでほしい。(H)
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ド派手な少年まんがのような勢いで、セリフも設定も壮大だが、その分まとまりきれず、肩すかしをくらった感。思いきりコメディに振るか、超真面目にバカをやっているような面白さを全面に出してもよいのかも。勢いで押してしまっているので、キャラクターの魅力をもっと掘り下げて物語に説得力を加えてほしい。(K)
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ある日突然、新宿に大穴があいて、そこから神の使いのようなものが出てくる…という荒唐無稽な設定ですが、ある程度のリアリティを持って、迫力ある感じに書けていたと思います。描写も上手なので、テンポよく読み進めることができましたが、主人公たちのキャラクターをもっと深堀りして、キャラの関係性や物語性で読ませてほしかった。巨大な大穴は人類への何かの警告か、それとももっと壮大な意味があるのか…、ただ大穴があいて侵略者と戦った、というだけでは、小説として深みが足りません。この設定の裏にあるであろう、世界とは、人間とは、というところにまで思いを馳せ、読者が驚くテーマや思想を見せてほしかったです。(I)
応募作品一覧
- 「五二㎐の鯨啼」
- 「じじいと夏の天使たち」
- 「深夜のメンヘラ妖怪図鑑」
- 「変わり者皇女は結婚相手の王太子を全力で愛でたい」
- 「真名を告ぐもの」
- 「綾子」
- 「東京シェイクスピア心中」
- 「刃は霧の中に消えて」
- 「Barter~交換条件~」
- 「兎を見て冬吾を放つ」
- 「シンデレラは魔法使いから逃げ出したい」
- 「シルバートン家の後継」
- 「無能と呼ばれる二世皇帝の妻になったら、毎日暗殺を仕掛けられて大変です」
- 「とある砂漠にあるとある町の話」
- 「いつも雨」
- 「魔都のフェアリーナイト」
- 「半神 久遠の血」
- 「ネバ―・エンディング・ラズベリー」
- 「紅き蓮の咲くところ」
- 「我が愛しの放蕩殿下」
- 「鳳凰の国~精霊は、夜空に煌めく」
- 「α捜査官の愛しきΩ」
- 「その者、神の使いか死の使いか」
- 「妹のために留年しました。」
- 「オバ対戦 ~愛と幸せのツインソウル死守攻防~」
- 「騙し討ちの恋物語」
- 「本当の空」
- 「狂おしいほど、いとおしくて」
- 「封じられた魔人 炎のアスラ」
- 「隷属少女は断れない」
- 「ソドムの御子~僕だけの、僕が愛した邪神~」
- 「聖女はお見合い斡旋所に再就職した」
- 「ヘカテの神殿」
- 「それから百年」
- 「イン・レイ・ハーン物語」
- 「白夜巡に君想ふ」
- 「花冠に帰す」
- 「ジョリーロジャー」
- 「陰陽寮の白狐」
※応募規定に満たない作品は審査対象外として掲載しておりません。ご了承ください。