朝から小春日和となったその日、寮の食堂で仲間たちと昼食をすませたユウリ・フォーダムは、睡魔に襲われがちな午後の始まりに、一人で散歩に出ることにした。 本音を言えば、親友であるシモン・ド・ベルジュを誘いたいのだが、あいにく筆頭代表である彼は、何かと忙しい。 それがわかっているので、黙って外に出ようとするユウリに、気づいたシモンが不思議そうに声をかける。 「あれ、ユウリ。どこに行くんだい?」 「ちょっと、外の空気を吸いに……。このまま勉強机に向かっても、たぶん眠くなるだけだから」 「そう」 そこで、ちらっと腕時計に目を落としたシモンが言う。 「残念だな。理事との会合さえなければ、僕も一緒に行くんだけど」 「そうだろうね。まあ、シモンがヒマな時に誘ってくれたら、いつでも付き合うから」 「それは嬉(うれ)しいな。約束だよ」 水色の瞳(ひとみ)を細めて優美に微笑まれると、同性であるユウリですらドキッとさせられるほど、魅惑的だ。