2人が同時に振り返ると、そこには、散歩道を悠然と歩いてくるエドモンド・オスカーの姿があった。 相手の姿を認めるなり、小さく舌打ちしたセイヤーズの横で、ユウリが意外そうに声をあげる。 「オスカー?」 「どうも、フォーダム。…………それと、セイヤーズか」 ベンチの横に立った下級生は、上級生の腕をつかんでいる友人の手をチラッと見てから続ける。 「珍しい取り合わせですね。こんなところで、なんの密談ですか?」 「別に」 目の端に、困惑を隠せずにいるセイヤーズの表情をとらえたユウリは、気をまわして返事をにごし、オスカーを見あげる。 「それより、君こそ、こんなところで、何をしているんだい?」 「それは、もちろん、あなたを捜しに来たんですよ。さっき、寮を一人で出ていくのを見かけたんで、もしかしてその辺を散歩しているんじゃないかと思って」 「それはご苦労さまなことだけど……、でも、僕だって、一人でいたいと思う時もあるんだよ?」 「その時は、そう言ってくれれば、遠慮しますよ。でも、今は一人じゃないし、俺も密談に参加しても構いませんよね?」 当然のごとく言ったオスカーだったが、意外にもユウリが頑なに拒否する。 「悪いけど、今は遠慮してくれるかな?」 「――――え、なんで?」